日本版LLP(有限責任事業組合)と消費税

こんばんは、今日はLLP事業を行う場合の消費税の取扱いについてまとめておきます。結構消費税は事業を行う上で影響が大きく出てしまうケースがありますので、大切だと思います。

現行税法上、消費税基本通達に組合事業における消費税の取扱いを定めています。(下記参照)
内容をまとめると、

■匿名組合 営業者–消費税の対象 匿名組合員–納税義務なし

■任意組合 各組合員が持分に応じて、個人事業を行ったものと考えて、消費税の対象となる
 (※有限責任事業組合も含まれると考えて間違いないと思います。)

この任意組合の取扱いをベースに例示するとこんな感じになります。

(例示) 今は2007年の決算が出たところと仮定します

■名称:マンデーLLP 

■損益の推移
2005年度 売上 4000万円 費用6000万円 損失△2000万円
2006年度 売上 8000万円 費用6000万円 利益 2000万円
2007年度 売上12000万円 費用8000万円 利益 3000万円
2008年度     来 年
2009年度     再来年

■構成員

Aさん(損益分配割合30%)※当LLPに参画以前事業は行っていない
Bさん(損益分配割合10%)※当LLPに参画以前事業は行っていない
株式会社C社(損益分配割合60%)※既存事業があり、毎年1億円程度の売上あり

では、消費税の納税義務を見ていきたいと思います。

2005年度 Aさん及びBさん:納税義務なし C社:納税義務あり(※1)
2006年度 Aさん及びBさん:納税義務なし C社:納税義務あり(※1)
2007年度 Bさん:納税義務なし Aさん及びC社:納税義務あり(※2)
2008年度 Bさん:納税義務なし Aさん及びC社:納税義務あり
2009年度 Aさん、Bさん及びC社:納税義務あり (※3)

(※1)AさんとBさんは新しく事業を開始したため、基準期間(前々期)の課税売上高なし ∴免税事業者
(※2)Aさんは、基準期間(2005年度)の売上が、4000万円×30%=1200万円>1000万円 ∴課税事業者
 Bさんは、基準期間(2005年度)の売上が、4000万円×10%=400万円≦1000万円 ∴免税事業者
(※3)Bさんは、基準期間(2007年度)の売上が、12000万円×10%=1200万円>1000万円 ∴課税事業者

消費税の納税義務について、個人組合員の場合及び資本金1000万円未満の法人であれば2年間免除されることとなりますが、仮に建物や高額の機械装置を初年度に購入する場合などは、消費税還付を受ける可能性が高く、免税事業者が得なのか、それとも課税事業者を選択した方が得なのか、各組合員自身が判断を行う必要が出てきます。なかなかどっちが得になるのか予測できない場合は、免税のままにしておくのが、無難ですが、明らかに多額の還付が可能であれば、予め課税事業者の選択届出書を提出して下さいね。 消費税課税事業者選択届出手続 (国税庁HPより)

では本日はこの辺で~

<以下、参考条文の抜粋>

消費税法 基本通達

(共同事業に係る消費税の納税義務) 
1 -3-1 共同事業(人格のない社団等又は匿名組合が行う事業を除く。以下1-3-1及び9-1-28において同じ。)に属する資産の譲渡等又は課税仕入れ等については、当該共同事業の構成員が、当該共同事業の持分の割合又は利益の分配割合に対応する部分につき、それぞれ資産の譲渡等又は課税仕入れ等を行ったことになるのであるから留意する。 

(匿名組合に係る消費税の納税義務) 
1 -3-2 匿名組合の事業に属する資産の譲渡等又は課税仕入れ等については、商法第535条《匿名組合契約》に規定する営業者が単独で行ったことになるのであるから留意する。