日本版LLP(有限責任事業組合)を選択すべきか?!(3日目)

こんにちは、今日も引き続きケーススタディについてです。

【2005年9月10日 キックオフミーティング開催】

Aさん、Bさん、cさん、dさんはまずどの組織形態がふさわしいのか、それぞれの特徴を列挙してみることとしました。
<注意点>
●1年間の事業活動を前提としていますが、短期間で組織自体を清算することは考えないもととします。
●登記手続きの煩雑さ、必要経費、必要時間などは、LLPの登記手続きの詳細が確定していないため、考慮対象外。(LLPの登録免許税は有限会社と同じく6万円、ちなみに株式会社は15万円)
●確認株式会社・確認有限会社は無視します。

(1)株式会社 

<メリット>
*やはり株式会社という看板が取引先に与える安心感では一番では?
*出資金額を上限とする有限責任なので、安心

<デメリット>
*商法改正間近ながら、現行法に従うと、資本金1000万円以上が必要
*取締役3人監査役1人が最低必要
*法人税課税を受ける
*消費税の納税義務も初年度から発生してしまう
*出資割合を無視した配当はできない
*法人住民税均等割りが資本金の金額に応じて、7万円~必要となる

(2)有限会社

<メリット>
*資本金が300万円あればOK
*出資金額を上限とする有限責任なので、安心
*役員は取締役1人いればOK
*資本金1000万円未満とすれば、消費税の納税義務が2年間免除

<デメリット>
*取引先に与える安心感は株式会社に劣る
*出資割合を無視した配当はできない
*法人税課税を受ける
*法人住民税均等割りが出資金の金額に応じて、7万円~必要となる

(3)有限責任事業組合(日本版LLP)

<メリット>
*出資金額を上限とする有限責任なので、安心
*出資割合に応じない損益分配ができる
*構成員課税(パススルー)により、所得課税なし
*法人でないため、出資金額に対する住民税均等割りのような税金が不要
*消費税もなし

<デメリット>
*取引先に与える安心感は、新しい組織形態のため未知数...
*民法上の組合とみなされる(特例)ため、当然のことながら法人格がない

(4)組織化しない

<メリット>
*状況からD社の単独契約、Aさん、Bさん、C社とは個別契約により役割を分担することにより、個々の責任を明確化できる。
*組織化不要のため、時間と費用がかからず、最終的な清算という煩わしさもない
*組織としての事務作業がなくシンプル

<デメリット>
*D社はクライアントに対して全責任を負うため、プロジェクトが失敗した場合や万が一、損害賠償が生じた場合は、D社に甚大な影響が及ぶ。
*事業資金を個別に管理することになり、プロジェクト全体での経費認識が難しく、利益分配という考え方のもとで、事業遂行は困難
*結果的に、D社に成功しても失敗してもそのしわ寄せが回ってきて、Aさん、Bさん、C社は業務受託等により享受すべき適正な対価をD社に請求するカタチとなり、事業の成功、失敗は関係なくなってくる
*個別業務に関して、業務委託・受託が発生してしまうため、契約手続きが煩雑になり、分かりにくい

上記、特徴を踏まえつつ、今回の具体的なプロジェクトを前提とした検討に移ることとしましょう~

続きは、また明日!!