日本版LLP(有限責任事業組合)出資持分の譲渡をしたら...(続き)

こんばんは、今日は個人がLLPへの出資持分を譲渡して脱退した場合、譲渡益にはどのような課税が生じるのかという話題の結論です。

感覚的には、出資金が増えて戻ってくる場合の課税というのは、株式を譲渡した場合と同じようなものと考えてしまうところですが、これがそうはいかないのです。

租税特別措置法
第九款 有価証券の譲渡による所得の課税の特例等
第37条の10(株式等に係る譲渡所得等の課税の特例)

というところに、株式等(何故か有価証券と言わずに株式等と置き換わっています..)を譲渡した場合は、その譲渡益に15%所得税を課すと定めています。(別に住民税5%必要です。)

すなわち、株式等(定義は下記条文参照)の場合は、20%の分離課税(上場株式の場合は今10%ですね)となるのですが、LLPへの出資持分はこれに該当しないため、実は譲渡所得(総合課税)になると考えられます。

(例)
所有期間5年以内の持分譲渡益=500万円 短期譲渡所得
所有期間5年超の持分譲渡益=300万円  長期譲渡所得(1/2します)

譲渡所得金額
500万円-50万円(特別控除額)+300万円X1/2=600万円

となり、この600万円が他の所得と合算されて、所得税率を掛けることとなります。所得水準に応じて税率が上がりますので、例えば、年収1200万円(月額100万円)の給与をもらっていたりすると、
譲渡所得金額に対する適用税率は、43%(所得税30%+住民税13%)にもなってしまいます。

有価証券の譲渡に似ているのに分離課税が適用されないものとして、こんなものもあります。ネットを使った証券投資を行う人にはご存知の方もいると思いますが、カバードワラントというものがあります。個人投資家向け税金の取扱いについてのQ&Aがありますので、URLを紹介しておきます。
http://www.gs.com/japan/ewarrant/communi/3.html

出資持分を譲渡して、儲かっちゃったりしたときは注意が必要ですね~ ではまた!

【株式等の定義】
租税特別措置法
第37条の10(株式等に係る譲渡所得等の課税の特例)
<前項省略>
2 前項に規定する株式等とは、次に掲げるもの(外国法人に係るものを含むものとし、ゴルフ場その他の施設の利用に関する権利に類するものとして政令で定める株式又は出資者の持分を除く。)をいう。
1.株式(株式の引受けによる権利、新株の引受権及び新株予約権を含む。)
2.特別の法律により設立された法人の出費者の持分、合名会社、合資会社又は有限会社の社員の持分、法人税法第2条第7号に規定する協同組合等の組合員又は会員の持分その他法人の出資者の持分(第4号に掲げるものを除く。)
3.新株予約権付社債(資産の流動化に関する法律第113条の2第1項に規定する転換特定社債及び同法第113条の4第1項に規定する新優先出資引受権付特定社債を含む。)
4.協同組織金融機関の優先出資に関する法律(平成5年法律第44号)に規定する優先出資(優先出資の引受けによる権利及び優先出資を引き受けることができる権利を含む。)及び資産の流動化に関する法律第2条第5項に規定する優先出資(優先出資の引受けによる権利及び同法第5条第1項第2号ニ(2)に規定する引受権並びに優先出資に類する出資として政令で定めるものを含む。)
5.公社債投資信託以外の証券投資信託(第4項において「株式等証券投資信託」という。)の受益証券及び証券投資信託以外の投資信託で公社債等運用投資信託に該当しないもの(同項において「非公社債等投資信託」という。)の受益証券
6.第8条の2第1項第2号に規定する社債的受益証券以外の特定目的信託の受益証券